今、知っておくべき事 その3

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前回、秦の始皇帝のお話をしましたね。
秦は支那地方を統一し、たった15年で滅亡してしまいました。
統一した時の、秦の国王の名を?政(えいせい)と言い、始皇帝を名乗りました。
その次の皇帝の胡亥(こがい)の代で滅亡しています。

あまりに短命な王朝であるため、長い間、始皇帝は無能な暴君だと信じられてきました。
しかし、始皇帝は息を引き取る際、正式に次の皇帝を指名していなかったそうです。
多くの子供がいたようですが、有能な子供は各方面の重要なポストについていたようです。

その為、始皇帝の最後に立ち合ったのは、あまり有能とは言えない息子の胡亥だったらしいです。
その胡亥が、即位の詔を捏造して、勝手に2代目になってしまったと言われています。
こうして人望もなく、能力もない皇帝が誕生して、たった3年で滅亡してしまいました。

これが史実かどうかは分かりません。
ただ、胡亥は自分の父の始皇帝が、重用した古参の実力者を、次々と排除したと史記に記されているようです。
始皇帝が採用した統治制度は郡県制でした。
これは現在の中国の統治制度にも通じる仕組みだと中学校でも習ったと思います。

郡県制は、絶大な中央集権の力がないと成り立ちません。
それにも関わらず、春秋戦国時代と戦い抜いて、秦を統一国家に導いた実力者たちを排除してしまうのは愚策です。
胡亥が無能であったのは本当にようです。
事実、秦を滅ぼした漢の高祖、劉邦は郡県制の綻びの中から立ち上がった地方役人でした。

ここからも、人望がなかったのは始皇帝ではなく、胡亥なのではないかと思われます。

天下分け目の関ヶ原と言われる関ヶ原の合戦は西軍10万人、東軍7万人が雌雄を決する戦いをしました。
しかし、中国では通常の合戦で20万人対20万人なんて規模は当たり前です。
20万人の兵をおこしても、その中の8割以上が、武士ではありません。
つまり16万人以上が、農民から徴兵された民兵です。

もし、王に人望がなければ、民兵が一斉に謀反を起こす可能性があります。
16万人以上の民兵が一斉に謀反を起こしたら戦争どころではありません。
反対に、この民兵の人望を集め、戦へのモチベーションをあげるのが王の役目と言えるでしょう。
数百年続いた戦乱を統一した王に人望がなく、暴君であったとは考えられません。

遥か昔の事なので、何が本当なのかは分かりません。
ただ、様々な状況と流れを整理する事で、いろいろな見解を得る事ができます。

さて、話は現在に戻ります。
インターネットが普及してからこれまでの間に何度も問題になった事があります。
それは、遠隔の医療です。
日本でも、これまで様々な業種が、遠隔の医療を取り入れ新しいサービスも模索してきました。

薬剤師が常駐しなくても薬が処方できる薬局。
医者が常駐しなくても診察できる医療機関。
こういった試みは、薬事法、医師法などと照らし合わせたり、医師会の反対にあって、その芽を摘まれてきました。
しかし、状況は刻一刻と変化してきています。

最近、日本以外の国々では、遠隔の医療が急速に発展しています。
この発展の速度が、日本に到達するのも時間の問題です。
先日、イスラエルで世界最大の遠隔医療に使うシステムの展示会がありました。
僕は医療の専門家ではありませんので、そのシステムがどれほどの物かは分かりません。
しかし、僕にもわかる事があります。

それは医療行為が国境を超える可能性が見えていると言う事です。

日本にいながら、世界的に有名な医師の診断を受ける事が可能だと言う事です。
色々な産業が国境を越えるためには関税と言う仕組みで、各国は自国の産業を守ってきました。
しかし、インターネットの出現で、関税の仕組みを飛び越えて、国境のない産業が広まってきました。

YouTubeは、国境を超え日本のテレビ業界を駆逐する勢いです。
Appleも国境を超え、日本中のレコード店を駆逐しました。
Amazonは、日本中の書店や出版社を打撃を与えています。
全ての産業の国境は失われつつあります。
スマートフォンの世界も、iPhoneやAndroid携帯の、基本概念は日本のメーカーが考えてものではありません。
日本のメーカーのスマートフォンは、今や下請けで作らされているようなものです。

医療の世界だけがその流れと無縁でいられる訳がありません。
医療機械を開発している会社も同じです。
近所の医療機関で撮影したMRIのデータを送信して、世界的に有名な医師の診断を受ける。
そんな時代も見えてきています。
そうなると日本の医療機関はMRIを撮影するだけの下請けになり下がります。

「そんなのあり得ない」
「法律で規制できるはず」
「医師会が黙っていないだろう」
そう思う人もいるかも知れません。
これまでも、そうやって高を括っていた結果が今の日本の状態です。

iPhoneが日本に上陸した当時、日本の家電メーカーやソフトバンク以外の携帯通信会社の判断は同じようなものでした。
「日本では売れない」
「日本人は好まない」

しかし、好む好まざるに関係なく、否応なしにその波に飲み込まれました。
今では、政府主導が、スマホ決済にはキャッシュバックすると言いだしているのです。
その理由は、世界のキャッシュレスの流れに乗り遅れているからです。

そして、日本の家電メーカーは、決済に使うAndroidスマホをGoogleの下請けの立場で作っています。

日本で「日本では売れない」「日本人は好まない」と判断されていた頃、Googleは、Androidの開発を決めました。
Androidで世界を獲りに来たのです。
その当時のGoogleの時価総額は、NTTドコモとほぼ同じでした。
つまり、NTTドコモも同じ判断ができるだけの財力を持っていました。
しかし、NTTドコモは、iモードに固執しました。

日本だけを見てiモードに固執したNTTドコモと、Androidで世界を獲りに来たGoogleは10年の時を経て雲泥の差となりました。
Googleは世界の様々な状況を見て、多くの見解からAndroidの開発を決断しました。

始皇帝の研究も同じ事です。
これまで始皇帝は暴君だと定説と慣例に基づいて判断されてきました。
しかし、民兵の人数や当時の状況を踏まえて、整理し直すと全く別のものが見えてきます。

様々な見解を取り入れて、全く別のものを見い出すことをイノベーションと言います。
始皇帝の研究も、スマホも、イノベーションと言えるでしょう。
しかし、ここ何年も日本発のイノベーションなど耳にしたことはありません。

・ファミコン
・カーナビ
・CDロムゲーム機
・VHSビデオ
・オートフォーカス
・ロータリーエンジン
・新幹線
・ハイブリッドカー
・たまごっち
・トリニトロン
全て日本発の素晴らしいイノベーションでした。

平成は、日本がイノベーションを起こせず、世界の下請けになる様をこれでもかと見せつけられてしまう時代でした。
それも、これも、インターネットと言うものを見誤り、世界の流れを察知できなかったからです。
令和は、かつての日本のようにイノベーションを起こし、世界に存在感を示す時代になるように願って、努力しようと思います。

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