ジョブズが生きていたらこうはならなかった

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9月9日に新しいiPhoneが発表されると言われています。
新しいiPhoneが発表される度に多くの人が口にする言葉があります。
「ジョブズが生きていたらこうはならなかった」

私はこの言葉が大嫌いです。
この言葉にどれだけの人が翻弄されているのか。
そもそも、ジョブズが生きていたらどうなっていたのでしょう。

ジョブズはApple社の創始者として、1997年、既に身売り寸前のApple社に復帰しました。
復帰後、iMac、iPhone、iPadと立て続けにヒットを飛ばして、今のApple社を作り上げました。
現在、その功績は世界中の人が賞賛しています。

では、当時はどうだったのでしょう?
めざましい功績を挙げたiPhoneやiPadですら、発表直後は散々のいわれようでした。
初代iPhoneが発表された時、世界の多くの携帯会社が扱うことを拒否しました。
「あんなものが売れる訳がないので扱わない」
そう言ったコメントが溢れました。

初代iPadが発表された時には、翌日、Appleの株価が4%以上値下がりしました。
「iPhoneの成功に浮かれて、失望するような商品を出してきた」
そう言われたりもしました。

これらのコメントは一般の人が言っていたのではありません。
世界の名だたる企業のCEOのコメントです。

ジョブズが生きていたらどうなのか?
やはり酷い事を言われていたのです。
しかし、ジョブズは死ぬことによって神格化され、功績のみが残りました。
それまでの悪く言われたプロセスは、忘れ去られてしまいました。

そして、今生きている人たちの努力を、死人を引き合いに出して論評する。
生者に対しても、死者に対しても、冒涜です。

「ジョブズが生きていたらこうはならなかった」
その言葉はさらに迷惑な現象を引き起こします。

新しいiPhoneが発売されてしばらくすると必ずこう言った人が現れます。
「新しく発表されiPhoneが出来が悪いって聞いて、Androidにしたので使い方を教えてください」
私は聞き返します。
「誰が出来が悪いって言ったんですか?」
その人が答えます。
「だって、ジョブズが生きていたら作らなかったような失敗作だってみんな言ってます」

みんなって誰やねん。
人間は3人から情報を聞くと「みんな」と判断するそうです。
Androidが悪い訳ではありません。
しかし、iPhoneを使っていて全てiCloudに保存していた人が、Androidスマホに買い換えるのは無謀です。
大がかりな引っ越しを余儀なくされます。

新しいものが発表されると必ず反対するための口実を作って、反対意見を言う人がいます。
それが人間の社会です。
反対意見のようにネガティブ性を含んだ情報は、賛成意見よりも早く広く拡散されます。
それも人間の社会です。

新しいiPhoneが発表されたら、また同じように言われるかも知れません。
「ジョブズが生きていたらこうはならなかった」
誰の意見でも聞く耳を持つ必要はあります。
しかし、人間の社会では反対意見を作り出す人がいること。
そして、その反対意見は早く広く拡散されてしまうこと。
それを差し引いて、解釈してください。

情報の鵜呑みは、絶対にやめましょう。

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