1000億円をどう使う?

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2016年はITの世界に大きな変化が起こる年になりそうです。
その前に日本のITの最先端はどうなっているのか?
少し整理してみようと思います。

ITの最先端と言えばスーパーコンピューターですね。

日本のスーパーコンピューターで最も有名なのが京ですね。
中国製で有名なのが天河一号です。
アメリカ製で有名なのがセコイアです。

どれも世界の1位争いで見かける常連さんです。
ではこれらの開発にどれほどの費用がかかっているかご存知でしょうか?

中国製の天河一号は日本円で71億円と言われています。
アメリカ製のセコイアは200億円以下だそうです。
そして、日本の京は1,120億円の費用がかかっています。

中国は日本と経済体制が異なりますので単純な比較は無理かもしれません。
しかし、アメリカと比較しても、京はセコイアの5倍以上の開発費がつぎ込まれています。

ちなみに長崎大学が独自に開発したスーパーコンピュータのDEGIMA(出島)は開発費が3,800万円だそうです。
これでも十分に世界レベルのコンピュータとして利用されています。

さらに調べてみるとスーパーコンピュータの使用には驚くほど電気代がかかります。
京の電気代は年間80億円と言われています。
天河一号は年間16億円です。
セコイアは年間25億円ほどらしいですが、既に15億円まで引き下げる目処が立っているようです。

さてこの京の開発費の1,120億円の内訳はどうなっているのでしょう?

1,020億円が税金で、100億円が民間企業からの出資です。
つまり開発費の90%以上が税金なのです。
そして開発の陣頭に立っているのがSTAP細胞の問題でも騒がれた理化学研究所です。

アメリカ製のセコイアは世界一になるたびに、各地の研究機関に導入されます。
なぜなら開発の段階で、並行して導入してくれそうな研究機関に営業しているからです。
「世界一になったモデルを購入してもらう」
これがアメリカ製のスーパーコンピュータが世界一を目指す理由です。

では理化学研究所が世界一を目指す理由はなんでしょう?
「世界一になって国民に夢を与えるため」
仕訳問題の時に、理化学研究所の偉い人がそう答えました。
これに対して仕訳人から「2位じゃダメなんですか?」と突っ込まれましたね。

このやりとりがあまりにも有名で、その前を知っている人はいません。
この際に仕訳人はこんな質問をしています。

・世界一になって、それをどう生かすかが全く議論されずに開発されている
・スーパーコンピュータを活かすソフトの開発が伴っていない
・ベクトル式とスカラー式の開発方針をしっかりと議論していない
・日本独自の規格に拘りすぎて汎用性が世界レベルに達していない

「こんな状況で何のために世界一を目指すのか?」
そう聞かれて、先ほどの「夢を与える」と答えた件に繋がるのです。

日本とアメリカのスーパーコンピュータには開発方針に大きな違いがあります。
スーパーコンピュータの技術を如何に民間利用に繋げるかを考えているのがアメリカです。
これに対して、日本のスーパーコンピュータは世界一を目指す公共事業になっています。
民間利用とは程遠い存在になっています。
税金を1,000億円も投入して、民間利用を模索していないのが日本のIT最先端の現状です。

各国の最先端のIT技術が、民間利用とどう結びつくか?
2016年はそれが大きな鍵になるでしょう。
ここでも日本が出遅れるのではないかと非常に危機感を覚えます。

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