Windows10の発売前に歴史と変遷を振り返る その3

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7月29日にWindows10がリリースされます。
リリース前のこのタイミングで、Windows10について、少しお話ししておこうと思います。
これはその第三弾です。
Microsoft社が世界にかけた魔法の話です。

Microsoft社は、世界中の人がMicrosoft Officeを無意識に使う魔法をかけました。
Microsoft OfficeとはWordやExcelなど、ビジネスソフトのセット商品です。

パソコンと言えば、WordとExcel。
この魔法は何年も、世界中の人々を縛り付けてきました。
例えば、こんな会話が当たり前のように成立していました。

私:今から電話番号を言いますのでメモっといて下さい。
相手:解りました。Wordを開くので待って下さい。
私:メモしてもらうだけで良いのですが・・・
相手:はい。だからWordにメモします。

この会話で笑える人は、問題ないと思います。
「え?何がおかしいの?」
そう思われる方は、Wordの魔力の中にいるかも知れません。

確かにWordでもメモできます。
しかし、Wordは起動するのに時間がかかるし、メモリ領域も圧迫します。
そう言った理由から、ちょっとしたメモをとる場合は、メモ帳を利用するのがベターです。
ところが、多くの人が条件反射的にWordを開きます。

起動時間がどうとか、メモリ領域とかの難しい話を知っているはずないじゃないか!
そう怒る人もいらっしゃるかも知れませんね。
しかし、問題はそこではないのです。

ここで問題なのが、多くの人は、Wordとメモ帳の違いを気にもしないのです。
「Wordとメモ帳は何が違うのですか?」
そんな疑問を持ってもおかしくないのに、疑問を持つ人がいないと言うのが問題なのです。
魔法の力で、無意識にこう考えるように仕向けられていたのです。
「Wordは素晴らしい、メモ帳はおまけでついてきたが、実際には必要の無いもの」

ある初心者の人が、こんなトラブルを起こしたことがあります。

その人は、初心者でありながら一生懸命にホームページを作成したりしていました。
インターネットでホームページの作成の仕方を調べたりしながら、コツコツと作業をしていました。
その人は、あるホームページでこんな記述を見つけました。
——————————————————–
以下のプログラムコードをコピーして、あなたのホームページに貼り付けて下さい。
あなたのホームページにアニメーションする時計が表示されるようになります。
貼り付ける際には、あなたのホームページファイルを、メモ帳で開いて貼り付けて下さい。
——————————————————–
その人は自分のホームページに、そのプログラムコードを貼り付けました。
しかし、その人のホームページは、それ以降、正常に表示されなくなりました。
その後、私に正常に表示されなくなったと相談がありました。

私は、その人のホームページを見て、すぐにこう言いました。
「Wordで編集しませんでしたか?」
その人は、プログラムコードを見つけて、貼り付けた時の話をし始めました。
私は、さらにこう聞きました。
「作業の際には、メモ帳で作業をしなさいと記述がありませんでしたか?」
その人は、こう言いました。
「そう書いてあったけど、メモ帳では貧乏くさかったので、Wordで作業しました」
そう答えたのです。

Microsoft社の魔法が最高潮に作用している結果がこの台詞に集約されています。

プログラムコードは、Wordで扱っては壊れてしまいます。
必ずメモ帳で扱うのが鉄則です。
わざわざメモ帳でやりなさいと書いてあるのに、勝手に判断して、Wordでやってしまう。
これがMicrosoft社の魔法です。

その魔法には、さらに解けないようにロックがかけてありました。
それは「共有」を意識させない魔法です。
Wordで作った文書は、相手もWordを持っていないと開けないと思わせる仕組みです。
ExcelもPowerPointも全て同じです。

Wordはワープロソフトで、Excelは表計算ソフトで、PowerPointはプレゼンテーションソフトです。
ワープロソフトのジャンルで言えば、Word以外に沢山のソフトがあります。
Word以外のソフトの多くは共有機能が分かりやすく搭載されています。
つまり、文書を作成して、送る相手が同じソフトを使っていなくても、開けるようにするサポート機能です。
これによって、相手が必ずしも同じソフトを使っていなくても、文書が共有できるのです。

Microsoft社の製品には、そう言った機能は目立つところに搭載されていません。
そのお陰で、あれだけのMicrosoft帝国を作り上げたのですから、商売の仕方としては良かったのでしょう。
しかし、その魔法すら、スマートフォンとタブレットの普及で解けてしまったのです。
スマートフォンやタブレットと同時に進化してきたクラウドストレージがその鍵でした。
これまで魔法の力で、一般の人が、気にすることもなかった共有という概念。
それがクラウドストレージの出現で一変したのです。

なぜなら、自分のスマホと、自分のPCでデータが共有でき無ければ、仕事にならないからです。
そして、最大の問題は、スマホには、WordもExcelも入っていない事です。
しかし、PCではWordやExcelで仕事をする事になります。
データが共有できても、WordやExcel以外で作業した結果を、WordやExcelに引き継ぐ必要があるのです。
これこそ、Microsoft社がひた隠しにしてきた共有と言う概念の根幹です。

iPhoneが登場してから数年、多くのユーザーは共有に壁に悩まされました。
しかし、インターネット介して多くの知識と知恵が飛び交い、共有の壁は少しずつ消えていったのです。
共有の壁から解き放たれた人々には、魔法の力が及びません。
そして、多くの人が魔法に縛られていたことに気づいたのです。
魔法の力は気づけば何の効力も発揮しません。
魔法の力が弱まっていく中で、Microsoft社は踏ん張るしかなかったのです。

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