なぜロボットは人間を殺すのか?

903f2c09c84cdfa9269aa4140d3cec97.jpg

ここ数日、北海道の函館に出張していました。
そこで、はこだて未来大学の松原仁先生と会食する機会がありました。
松原仁先生は人工知能の研究をされています。
テレビにも、たびたび出演されていらっしゃるのでご存知の方もいらっしゃると思います。

せっかくの機会だったので、その会食でざっくばらんに、いろいろ質問しました。
今日のメルマガで、その時の事をお伝えしようと思っていたのですが・・・

今回は別のお話をする事にしました。
楽しみにしていた方、ごめんなさい。
でも別のお話をするのには、ちゃんと理由があります。

その理由は、まず皆さんにロボットや人工知能の根本について知って頂く必要があると思ったからです。
その根本とは、今から50年ほど前まで遡ってお話を始める必要があります。

アイザック・アシモフという名前のSF作家がいました。
彼はSF作家でありながら生化学者でもありました。
彼が衝撃的な小説を発表したのが50年ほど前の事です。

その小説には沢山のロボットが登場します。
登場するロボットたちは「ロボット工学三原則」と言う決まりを守っています。
その三原則というのがこれです。

① ロボットは人間に危害を加えてはならない
② ロボットは①に反しない限り、人間の命令に従わなければならない
③ ロボットは①②に反しない限り、自己防衛に努めなければならない

もともとは英語なので翻訳は様々ですが、内容としてはこんな感じです。
この三原則は鉄腕アトムをはじめ、日本の漫画やアニメにも影響を与えました。
現実も、漫画やアニメ、映画の中のロボットが三原則を遵守しているシーンが描かれたりしています。

皆さんはロボット工学三原則を、ご存知でしたか?

鉄腕アトムや映画ロボコップなどでは、ロボット自身が三原則を口にするシーンがあります。
ご覧になった方は、ご存知だったかも知れませんね。
アイザック・アシモフが、この三原則を小説の中に登場させたのが約50年前です。
当時、アメリカでは、この三原則が衝撃的だったそうです。

その理由は、フランケンシュタイン・コンプレックスによるものです。

フランケンシュタイン・コンプレックス?
初めて聞いた。

そんな人が多いと思います。
人間が、神の真似事をすると必ず痛い目に会う。
これがフランケンシュタイン・コンプレックスです。

フランケンシュタインの小説の中では、怪物を作った科学者(大学生)は、自分の作った怪物に殺されます。
勘違いされている人が多いですが、フランケンシュタインと言う名前は、怪物を作った科学者の名前です。
怪物の方に名前はありません。

またアブラハム系宗教では、人間が、人間に近いものを作ろうとすると、天罰が下るという考え方があります。
アブラハム系宗教とは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の総称です。
これがフランケンシュタイン・コンプレックスと融合されて、アメリカやヨーロッパの文化の根底にあります。

そのため、ロボットが進化したら、人間は殺される。
そう考えられていたのです。
アメリカやヨーロッパでは、今でもロボットや人工知能が進化するたびに、人類が滅ぼされると大騒ぎになる事があります。
ロボットではないですが、クローン羊のドリーちゃんの時にも大騒ぎになりました。
全ての原因がここにあります。

そんな中、アイザック・アシモフが提唱したのがロボット工学三原則という訳です。

現在、このロボット工学三原則は小説の中だけでなく、現実世界でリアルに扱われています。
ロボットや人工知能を研究開発する上で、真っ先に考慮されるのがロボット工学三原則なのです。
50年前の小説の中に出てきた内容が、現在のロボットや人工知能の開発に影響を与えていると思うと、なんか不思議な感覚になりますね。

幸いにも日本人は根底に、アブラハム系宗教の感覚を持ち合わせてはいません。
それだけに、ロボットや人工知能の進化を冷静に見る事が出来ます。

次回、松原先生に伺ったお話をお伝えしようと思います。
是非、アイボや初音ミクや鉄腕アトムを生み出した日本人の豊かな感覚を最大限に発揮して読んで頂けたらと思います。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です