自民党の圧勝の秘密

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いつも、このメルマガではIT関係の内容をお送りしています。
だから選挙のお話をするのはおかしいと思われるかもしれません。

ITの苦手な方は仕組みを理解することが苦手な人が多いようです。
そこで以前から、仕組みを理解していないと、どんな間違いが起こるかをお話したいと思っていました。
その例として、参議院議員選挙が良いと思いました。
そこで今回は選挙の仕組みを例にお話いようと思います。

これは選挙の仕組みについてのお話です。
私は政治については素人なので、政治の内容については、詳しくお話しできません。
その点は、予めご理解いただけると幸いです。

現在の参議院議員選挙の仕組みは2001年から採用されています。
今回の選挙で、早々と当確を出して、スピード当選と言われた元スピードの今井絵理子さん。
彼女は約30万票を得ました。
2001年に同じ約30万票を得て落選した立候補者がいました。
元東京都知事の青島幸男さんです。

このように謎の矛盾が起こるのが参議院議員選挙の比例区です。
非名簿拘束式と言う方式がこの矛盾の元凶です。
今回も約27万票を獲得したにも関わらず落選した候補者がいます。
反対に2万票にも満たない得票数で当選した候補者がいます。

こちらにもその結果が出ていますので確認できます。

www.asahi.com/senkyo/senkyo2016/kaihyo/C01.html

では、この選挙の仕組みを説明していきますね。
参議院議員選挙は、選挙区と比例区の2つの選挙を行います。
選挙区の選挙は立候補者名を記載します。
これの得票数で、当選が決まります。
非常にわかりやすい仕組みですね。

これに対して複雑なのが比例区です。
通常の比例区の選挙では、政党名を書きますね。
政党の得票数が多い順に、議席を確保していきます。

ところが、参議院議員選挙の比例区では、政党名でも、立候補者名でも、構わないと言う仕組みです。
でも、実質的には、立候補者名を書いても、政党名を書いた事と同じです。
その立候補者が、所属している政党に一票が入ります。

ここで多く有権者の方の勘違いを誘発させているのです。
「政党を支持したくはないが、この立候補者名は応援したい」
そう言った有権者が、立候補者名を書いてしまうのです。

先ほどの今井絵理子さんの約30万票は、彼女を支持する約30万票ではありません。
自民党を支持したと言う約30万票に置き換えられて計算されます。
彼女の所属する自民党は約30万票分の議席を得たと言うことになる訳です。
結果的に、彼女の稼いだ約30万票のおこぼれで、当選する候補者が現れる訳です。

これが参議院議員選挙で、芸能人や著名人の立候補者名が乱立する理由です。
特に2001年に現在の仕組みになってから、その傾向は目に余ります。

つまり、立候補者名を書いても、立候補者名を応援したことにならないのです。
場合によっては、他の立候補を応援したことになったりします。
また、意図しない政党を支持したことになったりもします。
政党名でも、立候補者名でも、構わないと言う仕組みが、本質をカモフラージュしているのです。

この仕組みを危うさを、2001年の当初から指摘していたのが青島幸男さんでした。
当時、政見放送で青島幸男さんが制度の問題を繰り返し指摘していたのを、今でも覚えています。
また、当時、保守党の党首だった扇千景さんも、得票数が伸びたのに、議席が伸びず、滑り込み当選でした。
今回、社民党の副党首の福島瑞穂さんも同じような感じでしたね。
ちなみに党首の方は、落選しましたが・・・

なぜ、政党名でも、立候補者名でも、構わないと言う仕組みなのでしょう。
それが非名簿拘束式の落とし穴です。
通常の比例区選挙では、獲得議席の当選順位は、各政党が作成した名簿によって決まります。
しかし、非名簿拘束式には当選順位の名簿を作成しません。
その代わりに、比例区の投票で、名前を書かれた得票数の多い順に、当選順位が決まります。
つまり、当選順位を決定づけるために、政党名でも、立候補者名でも、構わないと言う訳です。

「立候補者名を書いて、立候補者個人を応援することが出来る」
そう有権者を錯覚させる摩訶不思議な制度は、こう言った理屈の上に成り立っているのです。

非名簿拘束式の比例代表選挙制の説明が思ったより長くなってしまいました。
仕組みを理解しなことで、ITの世界でも様々な失敗に見舞われます。
そんなお話もしたかったのですが、長くなってしまったので、次回にしうよと思います。

今日はここまでにしたいと思います。
長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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