常勝の天才と不敗の魔術師

楚人（そひと）に盾と矛をひさぐ者あり（楚の国の人が、盾と矛を売っています）

誰もが知っている中国の故事。
矛盾の冒頭です。
中学生の頃、暗唱させられたのを今でも覚えています。

中国には司馬遷の記した史記をはじめ沢山の歴史書があります。
中国の歴史書の面白いところは、史実かどうかは別として、分かり易い故事として残している事です。
古事記や日本書記などの難解さはなく、子供でもわかる教訓と言うべき話が沢山あります。

その中でも、誰もが知っているのが矛盾であり、中国の物語はこの矛盾が基本となっています。
中国の物語で、有名なのが三国志演義ですが、この中でも様々な矛盾が物語を面白くしています。
三国志演技は、漢王朝の末期に、衰退した漢王朝に変わる新しい国家を築くには誰が相応しいかの争いが、繰り広げられている時代のお話です。魏（ぎ）の国王の曹操（そうそう）は、漢王朝の幼帝を擁して自分こそが中国の支配者だと主張します。
蜀（しょく）の国王の劉備（りゅうび）は、漢の高祖の劉邦（りゅうほう）と同じ血統であることから、漢王朝の正当な後継者だと主張します。
呉（ご）の国王の孫堅（そんけん）は、中国の支配者が持つとする国璽（こくじ）を手に入れたことから自分が支配者だと主張します。
それぞれが支配者として、決定的な言い分があるにも関わらず、三竦みの関係で支配者になれません。

また、魏には司馬懿（しばい）、蜀には諸葛亮（しょかつりょう）、呉には周瑜（しゅうゆ）と、それぞれの国に不敗の天才軍師がいます。
不敗の天才軍師が、それぞれ策を巡らせるのですから、なかなか勝負がつきません。
まさに矛盾ですね。
この様に矛盾の故事を、最大限に活用し壮大な物語が繰り広げられます。
さらに、軍事、軍略、政治などを、緻密に盛り込んであるのも魅力だと言えます。

三国志演義は、物語の面白さだけでなく、現代にも繋がる戦略、戦術、政治の考え方が盛り込まれています。
下手なビジネス本を読むよりも、横山光輝の漫画、三国志全60巻を読んだ方が勉強になると思います。
ただし、漫画の三国志に欠点があります。そして長い事、そして登場人物が多すぎる事です。
余程、腰を据えて読む覚悟がなければ、漫画と言えど読破するのは難しいと思います。

他にも悩みのタネがあります。
それは名前です。
呉の国王の孫堅（そんけん）には、孫権（そんけん）と言う名前の息子がいます。
孫堅（そんけん）の死後、後を継いだのは孫策（そんさく）を言う息子です。
その孫策の死後、孫策（そんさく）の弟の孫権（そんけん）が後を継ぎます。

そんけん、そんさく、そんけん、どいつもこいつも、そんそん、そんそん。
あーー！
イライラする！！

そうなんです。
説明している方も、訳が分からなくなるほど、名前が複雑なんです。

そこで、一つ提案があります。
この三国志のエッセンスを分かりやすく取り込んで、宇宙戦争に置き換えた小説があります。
累計1500万部を超える超ベストセラー小説です。
このメルマガでも以前に紹介した事があると思いますが「銀河英雄伝説」と言う小説です。

この小説では三国志の様な複雑さが省かれています。
専制国家を背負う「常勝の天才」と、民主国家を背負う「不敗の魔術師」と言われる二人の軍人を軸に展開します。
作品内では、常勝と不敗という矛盾が対決する面白さがあります。
また、専制国家と民主国家のどちらが優れているのかがクローズアップされます。
多くの方は民主国家の方が優れていると、漠然と考えていると思います。
でも、民主国家が正しいと思い込みすぎると、大きな過ちに繋がる事も分かります。

この小説もオススメなのですが、やはり全10巻と結構長い。
そこで、小説よりも、もっと馴染みやすいアニメもあるのですが・・・
全100話を超える超大作で、DVDを借りてくると26本もあります。

過去に小説を読んだり、アニメを見たメルマガ読者の方から何通か返事を頂いたりしました。
「勉強になりました」
「政治を見る視点が広がりました」
「日本全国の教職員がまず見るべき」（これは学校の先生の方から頂いた意見です）ただ、どちらも長いのが悩みのタネです。

ところが、ところが。
この4月に銀河英雄伝説のアニメがリメイクされ、DVDを借りてこなくても無料で見られる様になりました。
リメイクよって全24話になると言う事です。
4月からなので、僕もまだ見ていません。
当然ながら100話以上も丁寧に作り上げた旧作の方が、内容は濃いと思います。
ちょっとコンパクトになり過ぎて、内容が薄くなっていないか不安ですが、入り口には良いのではないかと思います。予告プロモーション動画がありますのでリンクを貼っておきます。

予告プロモーション１