任天堂のマーケティングはインターネット向け

a1d52ed0d7960e5fba21c31e479001a1.jpg

前回のメールは、ゲームの見本市のお話でした。
今回のメールもゲームのお話ですが、内容としては、インターネットのマーケティングについてのお話です。
ぜひ、お読みください。

現在、世界には3社の大手ゲーム機メーカーがあります。
その中の2社が、任天堂とソニーです。
世界で活躍する3社のうち、2社が日本のメーカーです。
残り1社は、アメリカのマイクロソフトです。

マイクロソフトと言えば、時価総額が世界第3位の会社です。
その会社と肩を並べて、日本の2社が頑張っているのは嬉しいことです。
ゲームのようなコンテンツ産業が、自動車産業に代わって、日本のリーディング産業になる日が近い気がします。

先進国は自動車産業から次のリーディング産業への転換を終わらせています。
日本だけが、未だに旧態依然とした雰囲気ですが、僕は日本のコンテンツ産業は世界を変えると本気で思っています。

その中で、今、特に元気があるのが任天堂です。
株価も8年ぶりの最高値を更新しました。
今日はアメリカ市場のハイテク株下落の煽りを受けているようですが、これは一時的なことで、まだまだ伸びると思います。
また、時価総額も、ライバルメーカーのソニーを超えました。
ソニーの時価総額にはゲーム以外の事業を含みます。
それに対して、任天堂は、ゲームや付属の玩具だけでソニーの時価総額を超えたのです。

最近の任天堂は、緻密なマーケティングが光っています。
新作の発表のタイミングも、発売のタイミングも、恐ろしいほど緻密です。
これまで、大手企業にとって、緻密にスケジュールを組んで、正確にヒットを積み重ねるのは至難の技でした。

なぜならマス(大衆)を相手にする分、宣伝もマス(マスメディア)を使うことになります。
マスメデイアを使った宣伝は、大衆に大きな影響を与えますが、浸透までに時間がかかります。
マスメディアの代表とも言えるテレビCMは色々な人が見ています。
任天堂がCMを流しても、ゲームに興味のない人はチャンネルを変えてしまいます。
さらに、そのCMをゲーム好きな、ちびっ子や、おっきいお友達が見るとは限りません。
つまり無駄撃ちが多くなって、浸透速度も遅くなります。

結論として、緻密にスケジュールを組みすぎると、裏目に出てしまいます。

これに対して、パーソナル(個人)に向けた宣伝を可能にしたのがインターネットです。
パーソナルな宣伝はピンポイントでやって来ます。
インターネットを利用すれば、登録してくれたユーザーに、直接宣伝を送ることができます。

例えば、任天堂に登録しているユーザーに、任天堂が最新情報を送るというのがパーソナルな宣伝です。
任天堂に登録しているのだから、ゲームが好きに決まっています。
ゲーム好きが、最新のゲーム情報を受け取れば、すぐにレスポンスを起こします。
ゲーム好きは、ゲーム好きと繋がっています。
学校や会社での口コミや、SNSや動画サイトなどで一瞬にして拡散されます。

任天堂の人気キャラクターは、マリオ、ルイージ、ヨッシー、カービーなど沢山います。
こういった人気キャラクターが登場するゲームを、任天堂は毎月のように発売しています。
このハイペースは異常です。

この異常なペースで発売され続けるゲームを、マスメディアで宣伝していては追いつきません。
ここ数年、任天堂の元気がなかったのは、マスメディア宣伝の効果が、発売ペースに追いついていなかった気がします。
もし、マスメディアの宣伝効果を、発売ペースに合わせるのであれば10倍以上のCM宣伝費が必要になったでしょう。

ところが、ここ3、4年で状況が激変しました。
スマホの普及と、動画文化の広がりです。
最近はインターネットを通して発売前のゲームの動画をじゃんじゃん流せる時代になりました。
それもタダ同然で、ゲーム好きの人に狙い撃ちで宣伝できます。
ゲーム好きは、スマホを通して、その宣伝動画をいつでも観ることができます。
さらに、それをどんどん拡散していきます。
たった数日で、新しいゲームの宣伝が浸透してしまうのです。

マスメディアの宣伝は、マス(大衆)のタイミングに合わせて販売しなければなりません。
クリスマスなどのイベントに絡めなければ、効果を発揮することはできません。
それも莫大なCM宣伝費を支払う必要があります。
しかし、パーソナルな宣伝は違います。
宣伝する側がペースを作っていくことができます。

実際に現在の任天堂の好調を支えている最新のゲーム機は、2017年3月3日に発売されています。
桃の節句ではありますが、ゲーム機の発売日として適しているとも思えません。
ところが発売前からハイペースで、人気ゲームの動画がどんどんアップされ続けてきました。
ゲームファンに向けて、ピンポイントの配信が怒涛のように続いたのです。
それから4ヶ月が過ぎようとしていますが、まだまだ新作ゲームの動画ラッシュが続いています。
このゲーム機の販売台数は日本だけで100万台を超え、世界中で品薄となっています。

この結果は任天堂が緻密にスケジュールを組んで、自分たちでペースを作ってきたことによります。

ソニーも、マイクロソフトも、同じようなマーケティングを展開しています。
しかし、自社の人気キャラクターを持ち、その人気キャラクターのゲームを毎月のペースで発売できる任天堂は別格です。
まさにパーソナルな宣伝向きの会社と言えます。
任天堂のアドバンテージがしばらくは続くと思います。

実は、このパーソナルな宣伝手法は10年以上前から利用されています。
それを利用して、個人で大きな利益を上げるのがインターネットビジネスの始まりでした。
インターネットをビジネスで利用する際のポイントは、パーソナルな宣伝です。
マスメディアの真似をして、カッコイイ万人向けの宣伝を流すことではありません。
ここを間違えて、旧態依然とした大手の手法に憧れている人が多くいるようです。

パーソナルな宣伝、これが鍵なのです。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です