土俵はどこにある?籠池氏は嘘つきなのか?
大相撲の春場所も終わり、稀勢の里の優勝で幕を閉じました。
力士たちは文字通り土俵の上で闘っています。
土俵というのは、闘う場所の代名詞として用いられます。
「相手の土俵は不利だ」
「こっちの土俵に持ち込んだ」
なんて言い方をしますね。
反対に土俵をうやむやにする事で、煙に巻くこともできます。
先日、籠池氏の証人喚問がありました。
前日まで、マスコミ報道ではこんなことを言っていました。
「証人喚問で偽証すれば偽証罪に問われます嘘をつかないのが大前提なので、その証言は大きな証拠能力を持ちます」
しかし、あの証人喚問の後、マスコミ報道でこんなコメントが聞かれました。
「誰が本当の事を言っているか分かりませんね」
私は驚きました。
前日まで、証人喚問での発言は、真実である可能性が高く、大きな力があると報道していたのです。
であれば、籠池氏が本当のことを言っている可能性が高いのです。
証人喚問での証言に対して、Facebookで反論した人がいます。
その2つの言い分を、イーブンのものとして並べるのは間違っています。
なぜなら土俵が違うからです。しかし、マスコミ報道は堂々と並べて比較して、どちらが真実なのかと騒いでいます。
本来、反対意見を言いたい人は、同じ土俵で証言しなければ、勝負にならないはずです。
今回の話は、土俵をうやむやのすることで、話がカオス状態にされてしまっています。
結果論として、籠池氏が嘘の証言をしている可能性は十分あります。
しかし、その可能性の考慮は、土俵を合わせた後の話です。
順序が逆です。
ここで政治的なお話をしたい訳ではありません。
知らぬ間に、異なった土俵で比べてしまう危険性や、順序を間違えた時の危険性についてお話をしたいのです。
以前に、ある知り合いがAppleのノートパソコンを購入しました。
その知り合いは、事務的な仕事以外に、動画編集をしてみたいと思い、パソコンを買いに行きました。
パソコン売り場で見ていると、最新の軽量薄型のノートパソコンが目についたそうです。
そして店員にこう話しかけたそうです。
「軽くて持ち運びしやすいパソコンをください」
すると店員はこう言いました。
「どんなことに使われるパソコンですか?」
知り合いはこう答えました。
「動画編集をしてみたい」
しばらく接客を受けて、16万円でパソコンを購入したそうです。
私は以前にこう言ったことがあります。
「Appleのノートパソコンで動画編集を快適にしたければ26万円ぐらいは覚悟した方が良い」
その知り合いは購入後に私にこんなことを言いました。
「竹田さんは以前に26万円ぐらいいると言っていましたが16万円で買えました」
私は申し訳ないと思いつつ、その知り合いにこう言いました。
「軽くて持ち運びしやすく、動画編集ができるパソコンと
動画編集が快適にできるパソコンとでは天と地ほどの差がありますよ
体感で数倍から十数倍の違いを感じますよ」
すると知り合いは「え?」と言う顔つきになりました。
「持ち運びしやすい」と言う土俵と「動画編集が快適にできる」と言う土俵は全く違います。
「持ち運びしやすい」と言うのは性能を捨てて、軽量化や小型化を追求した世界です。
「動画編集が快適にできる」と言うのは、性能重視で、軽量化や小型化は二の次の世界です。
「持ち運びしやすい」の最上位機種の性能は「動画編集が快適にできる」の最下位機種の性能に及びません。
性能面ではそれほどの差があります。
反対に性能が良い分、発熱量が多く、排熱性が必要なため小型化は不可能です。
土俵や順序を間違えるとここまで話がややこしくなるのです。
パソコンだけでなく、何を比較するにしても、相容れない条件や状況があります。
そう言った条件や状況を鑑みて、土俵が設定されるのです。
その土俵を無視して、比較すると、本当に何もわからなくなってしまいます。
どんな時も絶えず土俵を確認しながら比較しなければなりません。
そして、異なった土俵や順序を無視して比較したものに、惑わされないようにする事が重要です。