Windows10の発売前に歴史と変遷を振り返る その4

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7月29日にWindows10がリリースされます。
リリース前のこのタイミングで、Windows10について、少しお話ししておこうと思います。
これはその第四弾で最終話です。
Microsoft社の魔法が解けていく中、Windowsは最終形に向かいます。

共有という言葉をきっかけに、世界は新しい価値観を求め始めました。

WordやExcelの一点張りではなくなりました。
iPhone、Androidスマホ、Windowsパソコン、Macで共有できるビジネスデータへのニーズが高まりました。
Apple社も、Google社も、そのタイミングに遅れることなく、新しい答えを提供しました。

Apple社は、iWorkの無料化とクラウドによる共有化でした。
iWorkとは、Apple社が提供しているオフィススウィートです。
Microsoft Officeのようなワープロ、表計算、プレゼンテーションのソフトがセットになっています。
Google社も、既に提供していたGoogleドキュメントを大幅に強化しました。
Googleドキュメントも、iWorkやMicrosoft Officeと同様で、Google社の提供するオフィススウィートです。

多くの人が気づいたのです。
WordやExcelだけが、オフィススウィートではない事に。
そして、iWorkとGoogleドキュメントがWordやExcelと互換性を持っている事に。
Apple社とGoogle社は、Microsoft社が作り上げたMicrosoft Officeの魔法を解き始めたのです。

Apple社がiWorkを無料化し、クラウドによる共有化を強化すると同時に発売されたのが、Windows8.1です。
Windows8.1の強みは、やはりWordとExcelが使えることでした。
その強みを背景に、ユーザーの望まない「スタートボタンもどき」を搭載して発売されたのです。
起動すると、やはりmodernUIと言うカラフルなタイルの画面が表示されます。
その中で、デスクトップのタイルをクリックしなければ、いつものデスクトップ画面にたどり着けません。
デスクトップ画面にたどり着いても、画面左下のスタートボタンらしきものは「スタートボタンもどき」です。

この画面仕様は、タブレットやスマートフォン向けに最適化された仕様です。
しかし、パソコンでも全く同じ画面が表示されるのです。
画面をタッチして操作するタブレットやスマートフォンの画面を、マウスで操作するのは無駄が多すぎます。
17年間も踏襲されてきたスタートボタンを使った操作方法が変わってしまったら世界中が大混乱です。
その大混乱のクレームを受けて、作られたWindows8.1が同じ過ちを繰り返してしまったのです。

そして、追い打ちをかけるように、Microsoft Officeの魔法が解け始めてしまいました。
多くの人がiWorkやGoogleドキュメントを利用して、賢く共有することに慣れ始めてしまったのです。
さらに、スマートフォンやタブレット普及は、ペーパーレスも加速し始めました。
WordやExcelではなく、ペーパーレスで資料を共有するために、PDFを利用する機会が激増しました。
世界は、全くMicrosoft Officeを必要としない環境へと変化しました。

Microsoft Officeを利用している会社や個人ユーザーもまだまだ数多くいらっしゃいます。
慣例的に使っているケースやMicrosoft Officeの特有な機能がどうしても必要なケースなどもあります。
しかし、無料で提供されているiWorkやGoogleドキュメントへ鞍替えするユーザーも増えました。
魔法が解けた世界は、自由に選べる世界になったのです。
この自由に選べる世界は、勢いを増して広がっています。

既にオフィススウィートだけの問題ではありません。
パソコンを買う際に、多くの人はWindowsとMacを迷う時代になりました。
Windows8/8.1シリーズのパソコンでの使いにくさが、一番大きな原因でしょう。
それに追い打ちをかけたのが、Microsoft Officeの魔法の力が弱まった事です。

これまでのMicrosoft Officeのアドバンテージはもうありません。
さらに、ペーパーレス時代に突入し、クラウドで資料は共有されるようになりました。
そして、Apple社やGoogle社のオフィススウィートは無料で提供されています。
この段階で、Microsoft社は方針を変更し始めます。

Microsoft Officeの機能を一部無料で提供することにしたのです。
パソコン向けのクラウドを利用したOfficeOnlineで、WordとExcelとPowerPointを無料公開しました。
それに合わせて、クラウドストレージのOneDriveを徹底的に強化しました。
さらに、iPhone、iPadやAndroidスマホ向けのオフィススウィートを相次いで無料公開しました。
極めつけは、クラウドノートのOneNoteを、Windows、Mac、iPhone、Androidに無料公開しました。

魔法が完全に消える前に、大きく勝負に出たのです。

現在のMicrosoft社のサービスは、Apple社やGoogle社と対等の品揃えまで来ました。
そのタイミングで、提供されるのがWindows10です。
スタートボタンの復活、パソコン用とタブレット用の画面仕様の切替などが可能になっています。
ユーザーの声に耳を傾けた変更が成されたWindowsです。
そして最後のWindowsです。

Microsoft社の発表では、今後、Windowsは大きなアップグレードはありません。
Windows10をベースに細かなアップデートを繰り返しながら進化させるそうです。
Apple社のMacOSXは、その方式で15年近く進化を続けています。
Microsoft社も、Apple社のそれに習う形です。
つまりこのWindows10がベースになって、今後、何年ものMicrosoft社の発展の鍵を握るのです。

魔法が消えた世界での大勝負です。
そんな視点で、Windows10の動向を注意深く注目していきたいと思います。

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